最後の歌



柔らかな手 握りかけた
風が君の 髪に触れた
小さな声 聞こえていた
長い夜を 走っていた

行くあてなど 何もなかった
時計仕掛け 儚い日々
アスファルトに 潜っていた
白い部屋で 怯えていた

太陽さえ 盗めたなら
何を君に 贈ればいい
胸の奥の 一言だけ
欲しいと言った 欲しいと言った

逆さまの未来で君に会う
十字路の星屑も
新しい明日でまた会えると信じている
涙さえ

五秒間の 隙間にだけ
突き刺さった ナイフで死ぬ
「最後だね」と 笑いかけて
「そうみたいね」 後ろを向く

柔らかな手 握りかけた
風が君の 髪に触れた
小さな声 聞こえていた
長い夜を 走っていた

逆さまの未来で君に会う
十字路の星屑も
新しい明日でまた会えると信じている
涙さえ
特別なストーリー 地下鉄のダイアモンド
覚えている